3月27日(木)と28日(金)に、学生や企業経営者をターゲットにした「セクハラによる企業リスク」を学ぶセミナーが開催されました。本セミナーでは、実際のセクハラ事件を題材に制作された映画『ある職場』の上映を通じて、職場における性被害の実態や、それが引き起こす経済的損失について参加者とともに考える機会となりました。
本セミナーは、MBS、映画監督、大学の教員、人材育成研修を手がける企業などで構成される「チームX」により企画・運営されました。
ジェンダー平等を
実現しよう
過去6年間、弊社MBSのクライアントである
「性暴力撲滅に向けた早期介入とPTSD予防のための人材育成と社会システムづくり」
(以下 NGM4Sプロジェクトと称する)に関わってきました。
MBSでは外部での発表に加えて、社内でも報告を行うことにしました。
MBSは2月1日に中日ホール&カンファレンスで開催されたシンポジウムにおいて、アンケート調査の分析結果を報告しました。
性暴力に関する社会的な認識は最近大きく変化しています。刑法は100年以上改正されていませんでしたが、2017年と2023年に改正されました。また、テレビ局の問題などをきっかけに、性暴力に関する報道が増え、日本でも大きな注目を集めるようになりました。このことにより、社会の見方も変わってきています。
特に男性やトランスジェンダーなどは、誰かに相談することが難しく、個人差も大きいため、問題は非常に複雑です。
NGM4Sプロジェクトは、「SDGsの達成に向けてジェンダー平等を実現しよう」という目的で進められています。性被害に関する問題を解決するためには、行政の変革が必要であり、問題意識が変わらない限り解決は難しいとされています。
NHKのホームページで実施したアンケートで、38,383件の回答が得られました。このアンケートは、実際に性被害を受けた方々の実態を調査したものです。
回答者の多くは若い頃に性被害を受け、その後も繰り返し被害に遭ったと報告しています。特に、親、親戚、友人など顔見知りからの被害が51.8%を占めています。
また、子どもが被害にあった場合、それを被害として認識せず、相談しづらいことが多いです。特に、父親からの被害に対しては誤った愛情だと認識することもあります。
MBSとしてもこのような調査に関わり、社会基盤や意識を変えることが必要だと感じており、今後も関与していきたいと考えています。
① PTSD発症の可能性
被害内容や暴力の種類に関わらず、PTSDの症状が発生するかどうかは個人差が大きいことが確認されました。
② セクハラ行為による影響
セクシャルハラスメントには、衣服の上から体を触られる行為や、言葉による被害も含まれます。たとえ職場にハラスメント相談窓口や対策が整備されていても、実際には「相談しづらい」状況が存在します。背景には、職場の人々がこうした行為を「よくあること」として軽視する風潮があり、それが加害行為の深刻化を招く要因となっています。
③ 会社の対応
被害後、「たいしたことない」「よくあること」とされるなど、組織風土の中にある二次被害が生じやすくなります。多くの職場では、加害者が守られる一方で、被害者は「声を上げても意味がない」と感じてしまいがちです。こうした対応が、被害者をさらに傷つける原因となっています。
④ 上下関係を利用したエントラップ型
職場の上下関係を悪用したエントラップ型の加害行為もあります。これは、加害者が権力関係を利用して被害者を追い詰めるような構造的ハラスメントを指します。
⑤ 被害の深刻な影響
被害を受けた方の多くは、自分を責めたり、無力感や孤独を抱えたりする傾向が見られます。周囲に相談できないまま、問題が深刻化するケースも少なくありません。
NGM4Sプロジェクトは、性加害を放置することによる経済的損失に焦点を当てています。
調査によると、性被害を受けた人の25%は職場に行けなくなり、その場合、もし被害を受けていなければ得られたであろう所得が計算できます。
この経済的損失は、最大8兆円と試算されました。被害者が職場を辞めることによって社会にも影響を及ぼし、企業も重要な人材を失うことになります。
社会全体が性暴力を放置せず、被害者を出さない社会を作ることが重要だと訴えています。
3月27日(木)と28日(金)に、学生や企業経営者をターゲットにした「セクハラによる企業リスク」を学ぶセミナーが開催されました。本セミナーでは、実際のセクハラ事件を題材に制作された映画『ある職場』の上映を通じて、職場における性被害の実態や、それが引き起こす経済的損失について参加者とともに考える機会となりました。
本セミナーは、MBS、映画監督、大学の教員、人材育成研修を手がける企業などで構成される「チームX」により企画・運営されました。
アンケートの集計結果から、
それぞれの視点を共有しました。
●経済的損失が数値として示されると、具体的に考えやすくてよい。
●子供の塾への外出時など夜遅いので心配が尽きない。性被害などが世の中から無くなっていくといいなと思う。
●職場での性暴力の実態を知り、せっかく就職した職場なのに、退職せざるを得なくなるのは寂しいだろうとも思うし、そのまま継続もつらいと思う。
●経済的損失を見て驚いた。
●男性主体の社会だったのを女性が上に進めるような社会になることを願うばかり。
●先日、NHKのラジオを聞いていたら、就活中のセクハラについての話があった。就活中のセクハラが3割というデータを知り、就職前からこれだけの被害があることに驚いた。なかなか社会が変わらないと感じた。
●就活中のセクハラは男性の方が高いという話もあった。性別に関係なく、被害があるということに注目するのもいいかと思う。
●今回わかった、数値として出てきたものを情報発信できるといい。
●小学生のときにお尻を触られ、祖母から「赤いスカートをはいていたからだ」と言われた経験がある。被害者が悪い立場になるのはおかしい。加害者が加害者であることを認識することが大事。性被害がない社会になってほしい。
●性暴力被害に関しては、なかなか相談できないことが多いと思う。人によって、線引きが異なるため、人に話しても人によって感じ方が違う。この人には問題なくても、別の人にはダメと感じることもあるので、難しい問題だと思う。いい社会になればいいなと思う。
●どんな調査も、こういう調査に関わっているということを全員が知らない。社内でも、情報開示をしていかなければいけないと感じた。
●「私たちはどうしていったらいいのか。」の答えが見えなかった。
●社会的損失のお金の部分と実際にPTSDなど心理的影響を受けた人が社会復帰できるように繋げられたらいい。
●セミナーについて、MBSの名を使っているなら、社内への情報共有やセミナー参加の呼びかけがあった方がいいと思う。
●アンケートの回答が4万件近くあったことに驚いた。
●先日、シンガポールや香港でも性被害に関するニュースがあり、加害者に厳しい刑罰が科せられた。日本も厳罰化した方がよいと思う。
●体を触られるなどの経験はあるが、問題視することなどなかった。同じことをされても人によって捉え方が違うので、自分で考えて模索出来たらいい。
●身近な人に相談できる環境作りが必要だと思う。どんどん声を上げていくべきだと思う。
●人によって受け取る側の意識が違うため、難しい問題だと思う。自分の基準ではなく、相手の言葉を聞き、相手の立場になって考える必要があると思う。
文責:RC事務局事業部 R.F